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なぜなぜエクステリア





Q. エクステリアとは?
A. エクステリア(exterior)とは、建物内部を表すインテリアに対する言葉であり、建物の外構、すなわち門・塀、車庫、アプローチ、庭(前庭、主庭、中庭)、サービスヤードなどの空間づくりをいいます。住宅の外観上の印象・雰囲気を引き出す要素として、また住まい手のライフスタイルが外へ向けて表れるステージとして、エクステリアが果たす役割は非常に大きく、したがって、その計画にあたっては、住まい手の生活スタイルや家族構成、街並みとの調和、建物との調和、庭とのバランス、人の動き(動線)などといったことを十分に考慮することが望ましいと考えられます。



Q. エクステリアのスタイルって?
A. エクステリアは、大きく次の3つのスタイルに分けることができます。
(1)オープンスタイル―郊外地型
敷地が広く、近隣からの目線をあまり気にしない開放的なタイプ。一般に前庭を広くとり塀を低く抑えるか、塀をつくらない場合もあります。建物の開口部(窓など)が小さくプライバシーが確保されている洋風住宅に多く見られるスタイルでもあります。
(2)クローズスタイル―市街地型
部外者の立ち入りを許容せず、プライバシーの確保を第一条件に求める閉鎖的なタイプ。塀を高めにし、外部からの完全な遮断効果をねらいます。通気性を考慮して開口部が大きい和風住宅に多く見られるスタイルでもあります。
(3)スタンダードスタイル
上記の2つのスタイルの中間的なタイプ。塀はプライバシーは考慮しますが、あまり閉鎖的な印象を与えない程度の高さがよいでしょう。



Q. エクステリアの計画ってどうするの?
A. エクステリアの計画は、まず、建物を中心として何をどこに配置するかを決めなくてはなりません。つまり、門からアプローチ、庭、車庫、サービスヤードを、それぞれ相互の動線を考えながら平面的なゾーニングをするのです。
ゾーニングって何?
ゾーニングは文字通りゾーンを決定すること。門やアプローチ・車庫等の場所を決定することです。ゾーニングの重要条件として、敷地の形・面積・道路との関係(方位および高低差)、建物の配置・構造・デザインなどがあり、これらを考慮して決めていかなければなりません。



Q. 道路の方角によって、建物の位置が違うのは何故?
A. 通常、日照・採光などの目的から建物の南側を、庭などのオープンスペースにすることが多く、北側には給排水、ガス、空調などの生活設備が設置・埋設されるケースが多く見られます。
つまり建物は、たいてい敷地の北寄りに配置されることになります。したがって道路が敷地の東西南北のどの方角にあるかで、門の位置、車庫の位置、アプローチのとり方など、エクステリアの配置計画のほぼ90%が決まってきます。



Q. 門のタイプはどんなものがあるの?
A. 門は大きく次の3つのタイプに分けられます。

(1)門柱型 石柱やレンガ柱など左右一対の柱に門扉を取り付けたもの。柱の素材のテクスチャーを生かすために、化粧をしない場合が多い。

(2)門袖型 塀の延長に門扉を取り付けたもの。両袖と片袖などの形式があります。
(3)門屋型 ゲート門やアーチ門など屋根がついている門。



Q. 門柱・門袖と門扉の高さのバランスってどのくらいなの?
A. 門の設計上、門柱・門袖と門扉との高さのバランスに、まず注意を払う必要があります。一般的には、門扉の上部は門柱・門袖より10〜20cmほど低くし、門扉の下部は地面から5〜10cm開いているくらいがバランスよく見えます。



Q. 門の幅はどれくらい必要なの?
A. 門の幅は、最低でも1.4mは必要で、自転車などを出し入れする場合は1.6m以上、さらに車庫と兼用する場合は2.5m以上必要となります。



Q. 門扉の素材は何がいいの?
A. 門扉の素材は、鉄製、アルミニウムの型材、アルミニウムの鋳物、ステンレス、木製に分けられます。最近は、軽く錆びないという利点があるアルミ製や、クールな質感のステンレス製のものが多く使用されています。木製の門扉も防腐加工によって腐食を防いでおり、天然素材を好む本物志向の人に好まれているようです。アイアンも人気がありますが、錆びるのは避けられません。よくその材質の特徴を理解した上で決定することが重要です。



Q. 門扉の開き方の種類は?
A. 門扉を開閉方法から分類すると、「片開き」、「両開き」が一般的で、やや特殊な例として「親子開き」、「三枚開き」、「四枚開き」があります。さらに、それらが敷地側に開く「内開きタイプ」と、外側に開く「外開きタイプ」に分類されます。門が道路に直に接している場合には、安全性を考えて内開きタイプの門扉を使用しなくてはなりません。道路に接してすぐに門扉があるという設計はあまり見かけませんが飛び出しなど危険なのでおすすめできません。
なお、車庫と共用する場合には、「引き戸型」や「伸縮型」などが用いられることが多い。



Q. 塀の高さはどれくらいがいいの?
A. 塀の高さは、建物の高さとの関係をもって考えるとバランスがよいでしょう。前述のエクステリアの3つのスタイル、すなわちオープンスタイル、クローズスタイル、スタンダードスタイルによって、大体の高さが決まってきます。
オープンスタイルは建物の高さの8分の1から10分の1程度、クローズスタイルでは建物の高さの5分の1程度、スタンダードスタイルでは建物の高さの6分の1から7分の1程度をそれぞれ塀の高さの目安にするとよいでしょう。



Q. 塀の耐震対策はどんなものがあるの?
A. 塀を設けるにあたっては耐震対策に万全な配慮をしなくてはなりません。塀の高さや基礎、鉄筋の状態など、その指導基準に従っての設計・施工が必要です。また、これらの塀づくりは、道路からすぐに塀とするのではなく、多少セットバックさせて間隔を開け、ツツジ類などの灌木の植え込みとすると、街並みの美観へ一役買うこととなり、優れたコミュニティづくりに効果があります。



Q. 門柱・門袖の材料はどんなものがあるの?
A. 下記は基本的な材料を記しますが、今は新商品などもありますから、施工業者にイメージを伝えて選んでもらうのもいいでしょう。
(1)コンクリート
セメント、砂・砂利、水を混ぜてつくられ、施工の際には鉄筋を入れて基礎壁とします。後で表面仕上げをする場合が多いですが、近年ではコンクリート打ち放しも人気があります。
(2)吹き付け・塗装
コンクリート製、コンクリートブロックを基礎壁として、リシン、スタッコ、ジョリパット、ペンキなどを吹き付け・塗装して仕上げます。
(3)貼りもの
タイル貼りと石貼りがあります。タイルにはいろいろな種類がありますが、その色や貼り方は建物や街並みとの調和ということをポイントとしたいものです。
石貼りは高級感を創出するときによく使われ、方形貼り乱貼りに大別されます。方形貼りは長方形の板石を整然とした趣で貼る方法で御影石や鉄平石がよく用いられます。乱貼りは大小の不定形の板石を張っていくもので、鉄平石が用いられることが多い。目地の模様の美しさが最大のポイントとなります。
(4)生け垣
生け垣とは、樹木を列状に密植し、刈り込んで形を整えた垣根で、文字どおり「生きている垣」であります。生け垣は、緑の環境づくりのための要素として、もっともっと見直されてもよいものでしょう。また、美観的な側面だけでなく、たとえば、地震の際にブロック塀などのように倒れることがないばかりか、防火、防犯、防音、防風、防塵などにも、すぐれた機能を発揮します。
(5)コンクリートブロック
コンクリートを規格化した型により成型・硬化させた製品。施工に当たっては、耐震対策として、高さは2.2m以下、基礎の根入れは40cm以上、控え壁を3.4mごとに設けることが望ましい。
(6)石材
御影石、大谷石、白河石などを用い石積みとします。自然石を使用した「野面積み」、加工石を利用した「切石積み」、割り石の小端を見せて積む「小口積み」などがあります。耐震対策から高さは1.5m以下が望ましい。
(7)レンガ
粘土を型どりして焼きましたもの。近年では多種多様な製品が開発・輸入されています。
(8)木材
板塀のように、日本では古くから塀として使われていました。木のもつ独特の温もりに根強い人気があります。また線路の枕木などの廃材や丸太を利用する場合もあります。日本独自の竹垣も広義の意味では木材です。
(9)その他
プラスチック、塩化ビニール、アクリルなどの製品があり、主にフェンスに利用されます。また上記の素材を組み合わせて使用する場合もあります。



Q. 生け垣用の樹種は何があるの?
A. 主な生け垣用の樹種は、針葉樹では、イチイ、イヌマキ、カイヅカイブキ、キャラボク、ヒノキ、サワラ、ラカンマキ、ヒバ類など、常緑広葉樹では、イヌツゲ、ウバメガシ、シラカシ、アラカシ、カナメモチ、サンゴジュ、ツバキ、サザンカ、ネズミモチ、マサキ、ヒイラギモクセイ、西洋イボタ(プリペット)などがあげられます。
生け垣には一般に以上のような常緑樹が用いられますが、ドウダンツツジ、レンギョウ、ユキヤナギなどの落葉樹も、花や紅葉を楽しむという鑑賞的価値から利用されることもしばしばあります。



Q. 生け垣の注意点って?
A. 生け垣をつくるときには、道路よりややセットバックさせなくてはなりません。生け垣の樹木は年月とともに生長し、丈だけでなく幅も広がります。道路にはみ出ると、通行人の迷惑となるので、道路との境界線よりも30〜40cmほど後退させて樹木を列植することが必要となります。



Q. 門まわりに必要なものは?
A. 門まわりに必要なものとしては、門灯、ポスト、インターホン、表札があります。これらは本来の機能を考えて設置するのですが、そのデザインによっては、門まわりを効果的に演出するアイテムです。
■門灯
門灯は設置場所・方法によって、門柱・門袖の上に置くタイプ、壁面に取り付けるタイプ、地面に立て足元を照らすタイプなどに分けられ、光源の違いによって蛍光灯タイプと白熱灯タイプがあります。デザインもさまざまなものがあり、門・建築のデザインに調和したものを選ぶようにするのが最もよいでしょう。
■ポストと表札
ポストと表札は、住まい手の個性・センスが最も端的に表現されるアイテムであり、最もアイデアが生かせる部分です。最近は防犯面でも強化されている商品もあります。



Q. アプローチとは?
A. 門から玄関ポーチまでのアプローチは、住まい手にとって毎日の生活動線であり、訪問者にとっては、玄関に入るまでの心の準備のための空間です。また、住む人の生活がそれとなく偲ばれる部分でもあり、門まわりと並んで重要な場所です。アプローチは、門と玄関の位置関係や動線を十分に考慮して、全体の建築計画の中でスムーズな使い勝手とデザインの調和が追述されるべき部分です。そのため、通路としての機能もさることながら、前庭としての景観性、建物との連続性を持たせることが必要とされます。



Q. アプローチのスタイルは?
A. アプローチのスタイルには、以下のようなものがあります。
(1)園路型 門から玄関まで切れ目のない園路でつなげるもの。
(2)延段型 短い直線状の舗装仕上げ部分を組み合わせたもの。
(3)飛石型 歩幅に合わせた部分のみ自然石や切石を敷くもの。
(4)階段型 敷地に高低差がある場合に段状とするもの。
このうち、延段型と飛石型は日本の古くからの園路づくりの手法で、実際、和風住宅に多く見られるアプローチのデザインですが、素材次第では洋風にもアレンジできます。



Q. 階段を作るときの注意点とは?
A. すなわち敷地に高低差があり、階段を作る場合は、一般には1段の高さは10〜20cm、踏み面は30cm以上を基本としています。
高齢者などを考慮したバリアフリーデザイン(最近ではより進化させてユニバーサルデザインが一般化しつつある)の設計思想から、より安全を考えて手摺りを設けたり、車椅子対策としてスロープを併用するなどの配慮が必要とされる。



Q. アプローチの仕上げ材ってどんなものがあるの?
A. アプローチは歩きやすく快適だということが必須条件です。したがって仕上げ材は、すべりにくく、テクスチャーが美しく、汚れが目立たないものを選ぶ必要があります。
主なアプローチの仕上げ材として以下のものがあげられます。
(1)石貼り
基礎コンクリートの上にモルタルを施し、丹波石、鉄平石など薄い自然石を貼る方法。最近は海外より、ジュラストーン、サンドストーン、インド砂岩などが輸入され、その風合いに人気が高まっています。
(2)タイル貼り
アプローチの素材として最も一般的に使われています。玄関ポーチと同じか、同系のものが望ましい。ただしすべりやすい素材なので、表面に凹凸があるものを選ぶか、1枚1枚のサイズを小さくして目地の細かさによってすべりにくくするという方法もあります。
(3)レンガ敷き
路盤をつくり、砂のクッションの上にレンガを並べてつくります。
(4)インターロッキング敷き
インターロッキングとは、側面にギザギザをつけて噛み合わせをよくしたレンガ状のブロックのことで、レンガと同じように、路盤に砂のクッションをつくり、その上に並べます。
(5)敷石
御影石、根府川石、ピンコロ(小舗石)などの平らな石を敷く方法。自然石を敷く方法と切石を敷く方法があり、目地のつくり出す模様がデザインのポイントとなります。
(6)その他
その他の仕上げとして、洗い出し、モルタル、コンクリート平板、木材(枕木)などを利用する方法があります。



Q. アプローチをより素敵に演出する方法は?
A. アプローチは住宅の前庭となる部分です。庭とつくからには、歩きやすさのほかに、風情の美しさや楽しさを演出し、来訪者にとっても心地よい空間を提供することが求められます。
a.植物をあしらう
ポイントに高木を植えるほか、所々に灌木類の刈り込みをつくったりします。最近では季節の草花を園路の縁どりとしてあしらったり、コンテナやハンギングバスケットを効果的に利用し、美しさを演出しているケースが多い。
b.オブジェなどを置く
オブジェ、モニュメント、彫刻などをフォーカルポイントに置き、楽しさと視覚効果をねらいます。
c.照明を生かす
安全面や防犯面でアプローチには必ず照明が必要ですが、照明は、樹木やモニュメントなどをライトアップし、夜の前庭を効果的に演出します。
d.その他
その他の演出方法として、水を効果的に使うのもよい。園路に沿って小さな流れや池をつくったり、あるいはバードバスや壁泉など、特に夏場はささやかな水音が涼しさを運ぶ。



Q. 車庫を作るのに必要な寸法は?
A. 車庫の大きさは、普通自動車(2000ccクラス)1台分の場合、幅2.7m、奥行き5mが最低限必要で、屋根をつける場合は高さ1.8〜2.4mが標準です。
敷地内のどこに車庫を設けるかを考えるときに、その敷地の条件によって、また、道路が敷地の北側か南側かによって、しっかりとゾーニングをしなくてはなりませんが、特に玄関から車庫までの動線や使い勝手など、建物と車庫をスムーズに連絡させるような計画が必要とされます。
車庫のとり方は前面道路の幅と敷地の関係から、以下の3つに分けられます。
(1)縦入れタイプ
道路に対して直角に車を入れるタイプで、車の出し入れが楽。前面道路の幅が5m以上ある場合に設けるもの。普通自動車1台分は幅2.7m×奥行き5.5mのスペースが必要。
(2)横入れタイプ
道路に対して平行に車を入れるタイプで、慣れないと駐車が難しい。前面道路の幅が狭く、道路に面した敷地の長さが十分な場合に設けるもの。普通自動車1台分は幅2.5m×奥行き7.5mのスペースが必要。
(3)斜め入れタイプ
道路に対して斜めに車を入れるタイプで、最も車を出し入れしやすい。三角形など変形敷地や狭い道路に面している場合に設けるもの。



Q. 車庫の土間の仕上げではどんなものがあるの?
A. 車庫の床仕上げには、コンクリート舗装、インターロッキング舗装が主に使われます。ただ15m2以上もの広い面積を同一素材で化粧するのもあまり面白みがないので、目地の模様や周囲の縁石などで変化をつけるとよいでしょう。周囲に灌木や下草をあしらうのも効果的です。車が車庫にないときに殺風景なエクステリアとならないような工夫が欲しいところです。



Q. サービスヤードって何?
A. 一般的には勝手口まわり、建物と隣地境界との間のスペースのことで、物置、物干し場、ごみ置き場などに利用されたり、ちょっとした作業場としても利用される、日常生活に不可欠な屋外空間です。



Q. テラス・ウッドデッキの役割って?
A. 室内と庭とをつなぐ重要な空間がテラスです。一般に石貼りやレンガ・タイルなどで舗装仕上げされます。屋外のもう一つの部屋と考えることができ、テーブルとイスなどのガーデンファニチャーを配置し、自然に親しむリビングルームとして利用すると生活に潤いが生まれます。
また、木製のテラスともいえるウッドデッキは、木のもつ温もりと肌ざわりの良さで、近年、非常に人気が高い商品です。建物の高さからウッドデッキに出られるので、部屋感覚で使用できるというメリットがあります。